【Research Report】脱炭素社会に向けた統合評価モデルの再考 ~有用性と不確実性、カーボンプライシング~

サマリー

 2015年12月、国連気候変動枠組条約締結国会議(COP21)にて「パリ合意」が取り決められて以降、主要先進国・地域で温室効果ガスの排出量削減目標が掲げられ、取り組みが進められてきた。近年では、経済活動を通じて排出される二酸化炭素に価格を付けるカーボンプライシングへの関心が高まっており、主要な例としては、「炭素税」や「排出量取引」などが挙げられ、こうした気候変動問題への対策の検討や評価には世界中の研究機関などが開発した様々なモデルから得られる結果が活用されている。
 日本の金融業界においても、昨今、CATボンドや損害保険のような自然災害リスクを組み込んだ商品や、脱炭素関連企業の株式に投資する投資信託などが登場しており、投資家や金融機関も気候変動による影響を把握しておく必要性が増していることから、本稿では、気候変動リスクやカーボンプライシングの理解における一助となることを目指し、気候変動予測と経済モデルを結びつける統合評価モデルの代表例としてDICEモデル、RICEモデル、PAGEモデル、FUNDモデルを紹介する。
 こうしたモデルの基本構造を理解しておくことは、統合評価モデルに限らず、今後、金融業界においても気候変動に関連した様々なリスクを把握し、経済的に評価する際に有効であろう。また、モデルにおける将来の不確実性という性質は、気候変動予測の今後の課題でもあり、モデルの有用性と併せて把握しておくことがアウトプットを見るうえで重要である。

サービス・事例紹介

この記事に関連する当社のサービスや事例のご紹介をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。
担当研究所・研究員からご案内をいたします。

ご意見の投稿

この記事についてご意見をお聞かせください。
今後のサイト運営や、レポートの参考とさせていただきます。

  • 戻る
  • ページ先頭へ戻る