国内SRIファンドの公開情報に関する調査~SRI ファンドの国内普及に向けて~

サマリー

PRIが2006年4月にスタートして以来、ESG(環境・社会・ガバナンス)の概念を投資プロセスに組み込もうとする動きが世界的に進んでいる。日本では、ESGを運用プロセスに組み込んだ投資商品としてSRIファンドが設定されており、市場規模は2007年12月末時点で7455億円(SIFジャパン1調べ)となっている。SRIファンドへの投資が盛んな米国の状況と比べると、2007年の米国のSRIファンドの市場規模は2020億ドル(23.2兆円)となっており、欧米のレベルと比べると大きな差がある。今後、日本国内でもSRIファンドが多くの投資家から支持され、普及するためにはSRIファンドが一般のファンドと何が違うかが理解される必要がある。そこで本稿では、国内のSRIファンドの公開情報を販売資料、目論見書、WEB等から収集し、公開情報によってSRIファンドの傾向や状況を、どの程度知りうるかを検証した。その結果、SRIの理念、ESGに関する情報の根拠や調査会社、ESGの評価を行っている運用プロセスの説明がSRIファンドを知るために必要な情報であることがわかった。SIFジャパンがSRIファンドに分類する50の本ファンドの公開情報を検証すると、SIFジャパンによる「環境」「CSR」「ウーマノミクス」「雇用」といったSRIファンドの分類の中で、「環境」は、さらに「環境経営」「インフラビジネス」「エネルギー関連」を重視した投資をするファンド、「CSR」に分類されるファンドはEとSに加え、Gの3要素を総合的に評価するファンド、「ウーマノミクス」「雇用」には、人材活用の視点から企業を選別している投資分野であることが確認できた。日本の金融機関についても、国内SRIファンドの普及やサステナブルな社会作りの一助となるためには、SRIファンドのコンセプトを明確にできる情報提供が求められよう。

サービス・事例紹介

この記事に関連する当社のサービスや事例のご紹介をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。
担当研究所・研究員からご案内をいたします。

ご意見の投稿

この記事についてご意見をお聞かせください。
今後のサイト運営や、レポートの参考とさせていただきます。

  • 戻る
  • ページ先頭へ戻る