過去3回に渡って、ステークホルダーに関連するESG問題とその事例を取り上げてきた。本シリーズの最後となる今回は、「内部モニター」「経営者」に関するESG問題について取り上げる。
取締役や監査人(監査役や監査法人など)などの「内部モニター」は、「経営者」(代表取締役や最高経営責任者(CEO)など)の監視と助言という2つの機能を有している。「内部モニター」による監視や助言が機能しない場合、「経営者」のモラルハザードを誘発する可能性がある。さらに、「経営者」のモラルハザードは、「内部モニター」のモラルハザードを誘発する恐れ(「経営者」と「内部モニター」との共謀)もある。したがって、「内部モニター」については、独立性、多様性の確保や適切な報酬体系など、「経営者」を規律づけるためのシステムが必要となる。
一方、「経営者」の意思決定は、あらゆるステークホルダーの利害と密接に関係する。「経営者」は、企業が長期的に持続可能な成長を達成するために、ステークホルダーとの間で適切な利害調整を行う必要がある。したがって、「経営者」に関連するESG問題としては、「経営者」の行動(意思決定、リスクマネジメント、投資、情報に対する施策)に関する事項が挙げられる。