ヘッジファンドにおけるパフォーマンス優劣の持続性について

サマリー

投資家がファンドを選定する場合、過去の絶対的なパフォーマンスだけでなく、類似するファンド間の相対的なパフォーマンスの優劣も考慮するだろう。この背景には、絶対的なパフォーマンスは相場環境によって変動するものの、ファンドマネージャーのスキルは相対的なパフォーマンスの優劣に現れることを、投資家が前提としていることがあると考えられる。そこで、本稿では、ファンドマネージャーのスキルの差が大きいとされるヘッジファンドを対象として、パフォーマンスの優劣が持続していたのか確認するために、統計的検定を行った。
具体的には、ヘッジファンドは戦略によりパフォーマンス特性が異なるため、戦略毎にパフォーマンスの優劣を分析することとした。まず、パフォーマンスの評価指標には騰落率を用い、計測期間による違いを調べるために、半期と四半期で計測した。分析期間は2009年7月~2011年6月とし、帰無仮説を「パフォーマンスの優劣に持続性はない」として、(1)連続する二期間(半期、四半期)のパフォーマンスの持続性について検定を行い、これを数回繰り返すものと、(2)騰落率の計測期間を四半期とし、分析期間全体を通した検定を行った。
その結果、計測期間や検定方法により、検定結果に違いが確認された。検定(1)においては、騰落率の計測期間を半期とした場合では全期間において帰無仮説が棄却された戦略が三つあったが、四半期の場合では該当する戦略はなかった。また、検定(2)では四戦略において帰無仮説が棄却された。結果として、債券戦略、破綻債券戦略、アービトラージ戦略は、検定(1)(半期の場合)と検定(2)の両方において帰無仮説が棄却され、パフォーマンスの優劣が持続する可能性が示唆された。

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