コーポレートガバナンスと企業の現金保有

サマリー

企業の現金保有は、資本市場を通じた資金調達が困難な状況ではベネフィットとなる一方、経営者の裁量によって現金が効率的に活用されていない場合には、企業価値を毀損する可能性もある。従って、企業の保有する現金の合理性は、コーポレートガバナンスと密接に関係する。コーポレートガバナンスを機能させることにより、経営者を適切に規律付けることができれば、企業の保有する現金は、企業価値向上に資するように活用されることが予想されるためである。

本稿では、コーポレートガバナンスと企業の現金保有に関する議論を整理し、わが国企業の現金保有に対して示唆を与えることを目的とする。先行研究によると、コーポレートガバナンスの脆弱な企業は、過度な現金を保有する傾向がみられるほか、保有する現金を効率的に活用しない可能性が示される。その一方、企業経営者は、現金保有の使途が効率的でない可能性に対し否定的な見解をもつことが示される。このような認識の違いは、企業の現金保有が結果として非効率となる問題を孕んでいる。2012年度決算における日本企業の現金保有は高い水準となっており、コーポレートガバナンスの果たす役割が重要となる。

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