株主によるモニタリングと企業のサスティナビリティ

サマリー

本稿では、企業が「再⽣⼿続等」による上場廃⽌に⾄るケースに注⽬した分析を⾏うことにより、株主によるモニタリングが企業のサスティナビリティに与える影響について検討する。上場廃⽌の決定要因に関する研究では、財務データから倒産予測を⾏うのが⼀般的であるが、企業のサスティナビリティに影響を与えるのは財務要因に限らない。例えば、株主によるモニタリングが機能することで企業不祥事の抑制や企業経営の効率性が向上する場合には、企業のサスティナビリティは⾼まると考えられる。このような視点を踏まえて、財務要因だけではなく、株主によるモニタリングの影響を確かめることが本稿の⽬的である。
分析の結果、⾦融機関によるモニタリングは企業のサスティナビリティを⾼める傾向が⽰された。この傾向は、推計⽅法によらず頑健であることが確かめられた。この背景には、メインバンクの機能としてよく知られる事後的なモニタリング機能(財務危機に陥った企業に対して改善策を⽰したり、経営陣の経営責任を追及するなどのモニタリング)が奏功した可能性が考えられる。その⼀⽅、役員、海外法⼈、⼤株主については、このような傾向は確かめられなかった。以上の結果は、企業からみて外部者である株主が企業経営に対して積極的にコミットすることの重要性を⽰唆しているように思われる。

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