ヘッジファンド指数の提供会社による違いについて
- 2009年8月31日
資産運用研究所
アナリスト
- 鈴木 優子
サマリー
ヘッジファンド指数は、株式指数等と同様に、市場動向を把握したり、ベンチマークとして使用するには便利である。だが、これらは、株式指数のように客観的な上場条件を満たした銘柄群をユニバースとして算出されているのではなく、ヘッジファンド指数の提供会社が独自に管理するデータベースをユニバースとして、算出されている。さらに、指数の作成ルールも各社様々である。ゆえに、名称上は同じカテゴリーの動向を表す指数であっても、中身は各社万様なのである。こうした背景を理解したうえで、ヘッジファンド指数を利用することが望ましいであろう。
そのために、本報告では、代表的なヘッジファンド指数の特性の違いをまとめた。はじめに、各提供会社のヘッジファンド指数の構成・算出ルールの特徴を確認した。次に、2000年1 月から2009 年3 月の月次リターンデータを使用して、定量的な差の有無を確かめた。その結果、ヘッジファンド指数の提供会社によってリターンの水準や歪度・尖度といった統計量に差が見られたうえ、システマティックなリスクファクターの係数やその有意性にも差がみられた。
以上の結果から、参照するヘッジファンド指数や期間によっては、①整合的な定量分析の結果が得られず、ロバスト性が確保しにくい面があること、②ヘッジファンド市況の動向判断が左右される等の問題が生じる可能性があると示唆される。