金融機関保有ポートフォリオへのヘッジファンド導入効果の検討
サマリー
最近、日銀による金融の量的緩和政策解除の時期が話題に上ることが多くなった。長年続いた超低金利が終焉を迎えようとしている。それに伴い、金利上昇リスクの回避が、運用者の大きな問題点となっている。
本稿は、地方金融機関のディスクロージャー資料から取得したデータを用いて、資産額と利息収入の推移およびリスク・リターンの分析を行ったものである。金利シナリオによる分析では、金利上昇過程の違いにより、また、再投資する債券の違いが利息収入および資産額の変動に影響を与えることが分かった。また、ポートフォリオのリスク・リターン特性も再投資する債券の違いにより、長期債の投資はリスクの増大、短期債の投資はリスクの低減になることが分かった。一方、金利上昇リスクを回避する為にヘッジファンドを用いた場合、ポートフォリオ特性を改善し、将来の利息収入を維持しながら金利変動リスクを低減できることが明らかになった。