退職後給付会計の最新実務~FAS158を中心に~

サマリー

米国財務会計基準審議会(FASB)は、2005年11月、退職後給付会計を総合的に見直すプロジェクトを開始した。このプロジェクトは、エンロンに代表される会計スキャンダルを受けて施行された、サーベンス・オクスリー法(企業改革法/SOX法)に端を発したものである。その第1段階として出されたのがFAS158「給付建て年金制度および他の退職後制度に関する事業主の会計」である。
FAS158は、これらの制度に関する会計基準や開示基準を定めた、FAS87、88、106および132(R)の一部を改定している。主な改定点は二つあり、ひとつは、ABOを基準とした最小債務に基づく債務の認識から、PBOを基準とした債務の認識への変更である。これにより、数理計算上の差異などの未認識項目は、遅延認識されることなく、包括利益を通じて即時に認識されることとなった。もう1点は、決算日より前の日を、負債及び資産の測定基準日とする方法の廃止である。
プロジェクトの第2段階では、年金債務、費用の評価方法を総合的に見直すとともに、開示についても、年金資産および年金債務のオンバランスが検討されることとなっている。

国際的には、未認識数理計算上損益の遅延認識は、英国会計基準では、すでに廃止されているし、国際会計基準でも、2004年の変更で、ひとつのオプションとして加えられた。日本の企業会計基準委員会も、2011年までに会計基準のコンバージェンスを達成する「東京合意」を本年8月8日に公表しており、このような退職給付会計のうねりは、いずれは日本にも到達することとなろう。
本稿では、FAS158の実務への影響を解説するとともに、わが国に同様の基準が適用された場合の影響について論ずる。

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