投資家のエンゲージメント

サマリー

責任投資原則の下では、ESGの問題(環境の問題、社会の問題及び企業統治の問題)を投資プロセスに組み込むことにより、投資家のパフォーマンス獲得可能性がさらに高まるとともに、投資先の企業にとっても、彼らが直面するESGの課題に対して相応の配慮が求められることから、結果として社会的に望ましい状況(win-winの関係)が実現すると考えられる。さらに、責任投資原則では、ESGの問題を投資プロセスに組み込む方法として、エンゲージメントを実施することを提唱してる。しかし、機関投資家が受益者の利益を最大化するとき、エンゲージメントは必ずしも最善の方法とならないことから、結果として社会的に望ましい状況が実現しない可能性があることに注意が必要である。そこで本稿では、機関投資家のエンゲージメントが機能する条件について検討を行う。小佐野(2001)、Martin ,Casson and Nisar(2007)の議論を踏まえると、ESGの課題に関するエンゲージメントが機能するかどうかは、モニタリングコストの負担の問題が大きく影響することが示唆される。このような課題の一部については、機関投資家による取組みも散見されている。望ましい社会を実現するためにも、本稿で示唆される検討課題は解決が急がれる重要なテーマである。

サービス・事例紹介

この記事に関連する当社のサービスや事例のご紹介をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。
担当研究所・研究員からご案内をいたします。

ご意見の投稿

この記事についてご意見をお聞かせください。
今後のサイト運営や、レポートの参考とさせていただきます。

  • 戻る
  • ページ先頭へ戻る