2008年10月のいわゆるリーマン・ショックから1年以上が経過した。本稿では、このChow, Jacquier, Kritzman, and Lowry(1999)の提唱する手法を利用して、基本的なアセットクラスの過去30年(1980~2009年)の長期データから、リターンの「外れ値」(=リターンの分布の形状から判断して通常の傾向から大きく乖離していると考えられるデータ)の発生状況の分析を行なった。その結果、ショックのインパクト及び発生頻度の両方の観点から、2008年は「100年に一度」という極端に例外的な年であったとは言えず、むしろ1980年や1990年などの方が、金融市場の動揺が大きかったことが確認された。