社会システム研究所
Enough Projectは世界の電機(民生エレクトロニクス)大手企業の紛争鉱物に対する取り組み状況をまとめたレポート「Taking Conflict Out of Consumer Gadgets」を発表した。紛争鉱物とは、タンタル、スズ、金、タングステンの4種類の鉱物のうち、コンゴ民主共和国およびその近隣国で採掘されるもので、紛争の資金源となり、内戦を長引かせ、強制労働などを含む人権侵害を引き起こす要因となっているものをいう。Enough Projectは、大量虐殺と人道に対する犯罪の撲滅を目的としているNGOであり、政策シンクタンクであるCenter for American Progressのプロジェクトとして2007年に発足した。同レポートは、2010年12月に行われた第1回目の調査に続いて、2回目の調査結果をまとめたものである。
このような調査が行われた背景には、2010年のドッド・フランク法2の制定が挙げられる。同法第1502条によって、米国に上場する企業のうち、前述の4種類の鉱物を
事業活動に使用している企業に対して紛争鉱物であるか否かの開示が求められることとなり、実際に開示を行う際の規則の詳細については米証券取引委員会(SEC)に
委ねられた。その後、2012年に実際に適用される規則が決定した。そのため、米国に上場する日本企業(SECに報告書を提出しているADR銘柄を含む)についても開示
が求められることとなった。