【Research Report】AI活用型ファンドの動向とスタイル
サマリー
AI(人工知能)の活用は広がり、国内の投資信託においてもAIを活用するものが登場している。AIを活用したヘッジファンドが優れた運用成果を得ている話題などを耳にすると、AIを活用しているというだけで、パフォーマンスに関して投資家が過剰な期待を持つ可能性がある。そこで、本稿では公募投信のうちAI活用型ファンドの動向について確認し、どのような運用をしているのかを定量分析によって検証する。
2019年末時点で設定されているAI活用型ファンドは43本で、ほとんどは株式に投資するファンドである。設定本数は増加傾向にある一方で、純資産総額は2018年8月をピークに減少傾向となっている。
AI活用型ファンドのほとんどは、アクティブリスクが小さく、マーケット・モデルによる分析の決定係数も大きかった。したがって、マーケットを大きく上回ることを目指すような運用ではなく、マーケットポートフォリオに近い運用をしているファンドが多いと言える。そして、3ファクター・モデルによる分析結果からは、ポートフォリオが小型株式に偏っているAI活用型ファンドが多く、そのうち国内株式に投資するファンドは、様々な期間で分析しても、サイズやバリューといったスタイルが大きく変化していないことが確認できた。