ファンドにはコストとして信託報酬が日々課される。信託財産の純資産総額に年間数パーセントを乗じて差し引かれる信託報酬は、「委託会社」「販売会社」「受託会社」の3者で配分されていくが、ファンドの目論見書を見ると、3者の配分比率は一律ではなく、様々のケースが見られる。
本稿で は、3 者の配分比率の違いによって、ファンドの運用や販売に影響を与えるか検証することにした。検証の結果、委託会社に配分する委託報酬が低いファンドより、高いファンドの方が高いリスクをとる傾向が見られた。しかし、必ずしも高いパフォーマンスは得られていなかった。マーケットの変動、特に下降局面ではリスク が高いことによって、損失も大きく膨らんでしまうからである。
販売報酬については、高く設定されるファンドから資金流出が見られる場合もあれば、低いファンドへの資金流入が見られる場合もある。販売インセンティブとしての資金フローへの影響は限定的だろう。
一方、運用規模の視点から、運用会社間で3 者の配分比率に差異があるか否かを検証した結果、規模の大きい会社の方が委託報酬や販売報酬を低く設定する傾向があることが確認できた。