欧州でソブリン債務の信用不安を抱える中、有望な投資先としてアジア地域に注目が集まっている。近年域内の株式やソブリン債券への投資が行われているが、昨年以降、ハイイールド債券をテーマとしたファンドの増加が際立っている。
本稿では2012年4月末現在で設定されているアジアハイイールド債券ファンドを対象に、それらの投資状況について格付け別、国(地域)別、業種別構成による調査を行った。その結果、国(地域)別では中国、香港、インドネシア、業種では金融、エネルギー、不動産といった投資先の偏りがあることが明らかとなった。
アジア地域におけるハイイールド債券を発行しているアジア企業の格付けは、当該国のソブリン格付けの影響を受けるが、近年アジア地域のうち、インドネシア、中国のソブリン格付けが引き上げられ、また中国などでは自国におけるハイイールド債券市場の発展を促進する動きも出ている。こうした点を背景に、今後も経済成長を続けていくとされるアジア地域において、ハイイールド債券市場のさらなる拡大が期待されよう。