企業におけるESGの課題(2)~「サプライヤー」「環境」「地域コミュニティ」に関連する問題の把握~

サマリー

第1回目(2011年1月号)の報告では、ESG情報を活用する投資家とESG情報を提供する企業との情報のミスマッチを解消すべく、ステークホルダーのうち「顧客」と「従業員」に関するESG問題(各ステークホルダーに応じて、企業が取組むESGに関連する問題)について取り上げた。第2回目となる今回は、「サプライヤー」「環境」「地域コミュニティ」に関するESG問題について取り上げる。
「サプライヤー」については、調達側の企業(以降、「調達企業」と呼ぶ)が調達先の企業(以降、「サプライヤー」と呼ぶ)に対して要請するESGの取組み要件(「契約条件(サプライヤー基準)」)という視点と、サプライヤーによる環境・社会に配慮した取組みの実効性を高めるための「コミュニケーション」の視点の、2つに大別される。ESG評価機関では、この2つの視点から評価している。「環境」については、①企業活動との因果関係を特定しやすい環境問題(「大気汚染」、「水質汚濁」などの「汚染の予防」)、②国際社会にとって重要な環境問題(「気候変動緩和及び適応」「環境保護・生物多様性」「持続可能な資源の利用」)、③環境問題への対応策(「環境マネジメント))の、3つに大別される。企業活動と環境問題の関わりには、「企業活動が環境問題を引き起こさない、あるいは環境負荷を最小限に留める」という側面と、「製品、サービスの提供によって、環境問題を解決する」という側面がある。ESG評価機関は、前者の視点を中心として企業の取組みに注視し、評価を行っているが、近年は後者への関心も高くなっている。
「地域コミュニティ」については、直接的にも間接的にも企業と関わりのある「広範囲のコミュニティ」と、事業活動から直接的に影響を受ける周辺の「地域社会」の、2つに大別される。企業がそれぞれの「コミュニティ」に関わる目的は異なり、前者はブランドイメージ向上といった事業機会の増大を意図する場合が多く、後者は企業の事業活動によって及ぼす可能性のあるネガティブな影響を緩和したり、地域社会の経済発展に貢献するといった、社会的営業免許(企業が地域社会に貢献することにより、その地域での事業活動が認められるという考え方)の意味でリスク回避を意図する場合が多い。ESG評価機関は、前者の視点で評価する場合、従業員の活動や、社会貢献活動の活動内容に注視し、後者の視点で評価する場合、地域社会へ貢献するための取組み状況やネガティブな影響を低減・回避するための取組み、ステークホルダーとの対話の状況について注視している。

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