消費者の購買意識の変化に関する考察

サマリー

日興フィナンシャル・インテリジェンス(以下、NFI)では、生活に関わる商品・サービスの購買意識(消費者が商品・サービスを購入する際に意識すること)を調査するために、消費者を対象としたアンケート(「生活に関するアンケート」)を行っている。調査を開始した2007年から2012年までのアンケート結果をみると、消費に対する関心が年々低下していることが窺える。そこで本稿では、2007年と2012年のアンケートにおいて、特に関心の低下が大きい項目(「介護」「健康・癒し」)を取り上げ、関心の低下が小さい項目(「趣味・レジャー」「車・二輪車」)と比較して分析することにより、近年の消費に対する関心の低下が、消費者の購買意識の変化によって説明されることを明らかにする。分析の結果、「介護」に関する購買意識は、コスト(例:介護サービスの料金等)や安全性(例:介護サービスにおいて利用される福祉遊具や設備の安全対策)の双方を重視する傾向から、より安全性を重視する傾向へとシフトし、そのような購買意識を持つ消費者が増えていることが示唆された。その一方、「健康・癒し」に関する購買意識は多様化しており、安全性(例:健康・癒しに関連したサービスに利用される製品・設備の安全性等)の意識が低下していることが示唆された。
これらの結果は、消費に対する関心の低下が大きい項目において、消費者の購買意識に変化が生じていることを示している。この点を確かめるために、消費に対する関心の低下が小さい項目について同様の分析を行ったところ、
購買意識が変化する傾向はみられなかった。また、このような購買意識の変化には、分析期間中に生じた景気低迷による「収入の減少」や「東日本大震災」の影響があることが示された。
以上の分析結果を踏まえると、近年の消費に対する関心の低下は、消費者の購買意識と提供される商品・サービスの間にミスマッチが生じている可能性を示唆している。

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