平成23年度退職給付会計50社の状況(速報)

サマリー

本稿は、東証一部上場の一般事業会社のうち、平成22年度決算において退職給付債務の額が大きかった50社を取り上げ、平成23年度決算期における退職給付会計の概要を報告するものである。平成23年度の年金の資産運用は、年度前半にかけて進展した円高が、年明け以降は円安に転じたことや国内金利が低位に推移したことなどから、年金資産の積立比率の改善に寄与した。一方、国内金利の低下は、割引率の低下を伴う場合には退職給付債務の増加要因となる。
以上のような観点から、50社の状況について概観した結果、(1)50社平均の積立比率は64.4%となっており、前年度に比べて1.3%低下したことが明らかとなった。次に、数理計算上の差異の発生状況をみると、(2)50社平均の自己資本および総資産に対する数理計算上の差異の発生額の比率は、それぞれ1.9%、0.6%にとどまっている。さらに、日本会計基準適用企業について、未認識債務が自己資本比率に与える影響を試算したところ、(3)即時認識前の自己資本比率の平均は32.6%であるのに対して、即時認識後は31.2%と1.4%低下することが確認された。従って、即時認識の影響は限定的であると予想されるものの、一部の企業においては大幅に自己資本比率が低下するケースがみられており、バランスシートの悪化が懸念される。

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