国内銀行を取り巻く環境は、預金の伸びに対し貸出が伸び悩む状況が続いており、相対的に有価証券運用の重要性が増していると指摘されて久しい。そこで本調査では、前年(山本[2011])に引き続き、地方銀行協会に加入している64行(以下、地方銀行)の預金・貸出・有価証券の状況を日銀公表データおよび各行のディスクローズ資料から概観した。その結果、預金と貸出金の差額である預貸ギャップが拡大(61.0兆円→66.7兆円)していること、預金に対する貸出金の比率である預貸率が低下(72.1%→70.8%)していることなどから、相対的に有価証券運用の重要性が高まっていることが確認できた。有価証券の運用状況については、前回調査時と比較し、さらなる債券保有比率の上昇(全国64行平均91.12%→92.19%)と平均残存年数の短期化(同4.98年→4.78年)が確認できた。また、平均残存年数については、メガバンク4行の2.91年に対し、地方銀行平均では4.78年となっており、前回調査時と同様に、メガバンクに比べ地方銀行の保有債券の残存年数が長いという傾向に変化がない事が確認できた。