【Research Report】【続2】日銀の国債買入れがJGBのタームプレミアムに与える影響の基礎的な実証分析

サマリー

日本銀行は、黒田総裁就任後、デフレ克服のため速やかに量的・質的金融緩和を導入し、量的・質的金融緩和は2014年10月に、量・質ともに拡充され、2016年1月にはマイナス金利が付加され、マイナス金利付き量的・質的金融緩和となった。筆者は、拙稿(田中[2015])において、巨額の国債買入れがJGBタームプレミアムに与える影響について、スポットレートベースのJGB-OISスプレッドをタームプレミアムとし、イールドカーブ全体を対象とした実証的な検証を試みた。本稿は、その続編として新たなデータを追加し3次元緩和期間も考慮した上で、国債買入や金融政策アナウンスメントがタームプレミアムに与える影響について再検証したものである。
その結果、3次元緩和以降、超長期ゾーンのタームプレミアムが急速に縮小していることが分かった。また、田中[2015]と同様に、国債買入れや強いコミットメントを示した金融政策運営方針が、タームプレミアムを縮小させていたこと、そして、これらファクターの感応度は緩和期間が進むにつれて鈍化したことが示唆された。しかしながら、3次元緩和期間においては、買入オペインパクト(前月末時点の市中残存国債に対する当月の買いオペ合計額)とタームプレミアムには有意な正の関係が検出された。つまり、3次元緩和以降、買入れオファーが流動性の枯渇懸念リスクとして意識されだした可能性がある。

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