平成25年度退職給付会計50社の状況

サマリー

本稿は、東証⼀部上場の⼀般事業会社のうち、平成24年度決算において退職給付債務(以下、PBO)の額が⼤きかった50社を取り上げ、平成25年度決算期における退職給付会計の概要を報告するものである。平成25年度の年⾦の資産運⽤は、量的・質的緩和を受けて円安・株⾼の動きが強まった結果、好調なパフォーマンスを記録した。しかしながら、平成24年5⽉17⽇に公表された「退職給付に関する会計基準」および「退職給付に関する会計基準の適⽤指針」を受けて、平成25年度の退職給付会計では、これまで未認識項⽬として遅延認識によりオフバランスしていた年⾦の積⽴不⾜が、⼀時に負債計上されることから、遅延認識していた積⽴不⾜の⼤きな企業においてはバランスシートの悪化が懸念される。
以上のような観点から、50社の状況について概観した結果、(1)50社の積⽴⽐率の平均は72.0%となっており、前年度に⽐べて5.1ポイント上昇したことが明らかとなった。次に、数理計算上の差異の発⽣状況をみると、(2)50社平均の⾃⼰資本に対する数理計算上の差異の発⽣額(プラスの場合は数理差損、マイナスの場合は数理差益の発⽣を表す)の⽐率は-1.7%となることが⽰される。このように数理差益が発⽣した背景には、(3)年⾦の資産運⽤が奏功したことが挙げられる。さらに、(4)⽇本会計基準適⽤企業27社における、バランスシートへの影響を確かめたところ、負債⽐率や⾃⼰資本⽐率への影響は限定的であることが明らかとなった。

全文ダウンロード

サービス・事例紹介

この記事に関連する当社のサービスや事例のご紹介をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。
担当研究所・研究員からご案内をいたします。

ご意見の投稿

この記事についてご意見をお聞かせください。
今後のサイト運営や、レポートの参考とさせていただきます。

  • 戻る
  • ページ先頭へ戻る