日米の資金循環表にみる年金資産と株式市場

サマリー

先進諸国を中心とする各国は、国連で作成された国民経済計算の体系(SNA、System of National Accounts)をベースに資金循環表を作成している。日本の資金循環表は直近では99年に基準が改訂されたが経済主体を示す「部門」が従来の21から46に増え、金融機関の中に「年金基金」(さらに「企業年金」「その他年金」に細分化)、一般政府の中に「社会保障基金」(「公的年金」「その他社会保障基金」に細分化)などが追加され、金融資産や金融取引活動全体の中での年金資産の相対的なプレゼンス、年金資金の資産構成などについてその概要が把握できるようになった。本稿では、日米それぞれの資金循環表を使って、年金資産の相対的な大きさや、年金資産の増加あるいは多様化が、株式相場や家計に対しどのような影響を与えているかを概観した。米国での退職準備金資産は、資産残高および名目GDPに対する比率も高まっている。内訳では1996年以降、DC制度の資産残高がDB制度の資産残高を上回っている。またIRAも合わせた拠出建て年金制度の拡大に伴って投資信託の残高が大幅に増加し、発行済株式時価総額の22.9%を占めている。最大の株式保有主体は家計で33.5%、退職準備金は私的年金の9.5%と公務員年金の10.3%を合わせると19.8%である。日本でも年金資金の残高は増加しているが、公的年金の比率が高いのが特徴である。発行済株式時価総額に対する保有比率では、企業年金を除く金融機関と海外が22.3%で最大、非金融民間法人が21.9%、家計21.3%、企業年金5.7%、公的年金4.5%である。

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