未認識債務と株式リターン

サマリー

本稿では、本誌2005年9月号で報告した積立不足と株式リターンとの関係について、追加的な分析を行う。米国FAS158においても、積立不足の全額がオンバランスされることとなり、積立不足の変化を即時に株主資本に反映させる処理が国際的な潮流となる中、わが国において市場が正しく未認識債務を評価しているか否かは重要な問題だと思われる。
Fama=French型ファクターモデルによる時系列の回帰分析とFama=MacBeth型のクロスセクション回帰双方を行った結果、市場は未認識債務が将来の利益に及ぼす影響を完全には織り込んでいない可能性が示唆された。換言すれば、決算情報が利用可能になった時点でも未認識債務への評価に関し、ミスプライスが残っている可能性が示唆された。具体的には未認識債務が大きい企業のリターンは他の企業に比べ低くなることが示された。また、未認識債務を未認識数理計算上の差異に絞った分析においても同様の傾向が得られた。他方、クロスセクション回帰では、売上や利益の変動を考慮しても決算発表後半年間のリターンと未認識債務が相関を持つことが示唆された。

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