リタイアメント・プランニングと健康~退職後の保健医療支出負担軽減には主観的健康感を高めることも重要~

サマリー

年を重ねるにつれて「毎日を充実させて生きる」ことへの志向が高まる傾向がある。リタイアメント・プランニングでは、このような生活を送れるようなライフプランが求められる。その為の健康維持は重要な要素であり、退職後の生活資金計画に保健医療支出1への備えが欠かせない。高齢になるほど病院サービスを利用する機会が多く、保健医療支出が増えるからである。実際に医療費の負担感は強く、健康維持のための支出の優先順位も高い。しかし、客観的にみて自分の健康については問題がないという意識を持っている高齢者は多い。客観的にみて健康であることが保健医療支出の抑制につながっていない可能性がある。平成17年度の国民医療費は33兆1,289億円となり、国民所得にしめる国民医療費の比率は9.01%と、医療費は社会的な負担になりつつある。本稿では医療費や保健医療支出を抑制する要因を考えてみたい。
生活習慣病といった個人の客観的な健康状況や、それに関わる病院の利用行動状況に加えて、主観的健康感、自分時間の充足感といった個人の主観的認識も含めて医療費抑制要因を検証したところ、病院での入院日数や外来患者数を低減させるためにスポーツを行うことが効果的であることと、主観的健康感を高めることが国民医療費の抑制につながる可能性があるという結果が得られた。
リタイアメント・プランニングにおける健康を考える際に、スポーツなどによって生活習慣病を予防する計画に加えて、主観的な健康状態を高めうるような生活時間を計画に含めることが、国民医療費の負担軽減、ひいては退職後の保健医療への支出低減につながると考えられる。

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