社会貢献型ファンドの運用スタイルをめぐって~国内株式の一般型ファンドとの比較検証~

サマリー

近年、企業の社会的責任(CSR)を意識した経営者、社会的責任投資(SRI)を意識した個人投資家および機関投資家が増えるにつれ、環境問題、社会問題、倫理問題をテーマにした社会貢献型ファンドの台頭が顕著になっている。
社会貢献型ファンドの投資意義について熱い議論が交わされている。多くの欧米の先行研究では、社会貢献型ファンドの投資機会には制約があっても、一般の株式ファンドとの比較では、パフォーマンス上、統計的に有意な差は確認できないことが示されている。一概に一般の株式ファンドと社会貢献型ファンドで、いずれのパフォーマンスが勝っていると決定づけるには難しい状況にある。投資家にとっては、パフォーマンスの良さも重要であるが、より重視すべきところは、社会貢献型ファンドの組成の際のCSRの評価を行うプロセスであろう。すなわち、同じ株式投資でも、明確なCSR評価の基準、プロセスがあれば、そのファンドへの投資が社会貢献につながる可能性がある。そして、このような投資は社会貢献をしている当該企業へを応援することにもなるのである。
本稿では、運用会社を同じくする社会貢献型ファンドと一般のアクティブ型株式ファンドとを比較し、定量的な手法でそれぞれの運用スタイルの差異について検証した。分析の結果、いわゆる社会貢献型ファンドは、運用会社の中で、一般の株式ファンドと必ずしも運用スタイルが異なるとは言えないことが示唆された。環境ファンドも例外ではない。今回、検証の対象とした社会貢献ファンドの多数がTOPIXをベンチマークないし参考指数としており、今後、社会貢献ファンドが一般の株式ファンドと運用スタイルの一因となっているのかについて、さらに検討してゆきたい。

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