マーコビッツによって1952年に提唱された平均・分散モデルは、現在でも多くの投資家に利用されている。しかし近年では、資産配分が十分に分散されているポートフォリオでも、各資産のリスク寄与度が十分に分散されていないとの指摘がなされている。この様な問題点を解決するために、海外の投資家の間では、各資産のポートフォリオへのリスク寄与度を等しくする「リスクパリティポートフォリオ」に注目が集まっている。
本稿では、先行研究が極めて少ない日本の株式や債券を中心としたリスクパリティポートフォリオの特徴を確認するために、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の資産を用いて検証を行った。その結果、海外での先行研究が示す結果と同様に、資産配分に重点を置いた従来型のポートフォリオのリスクの大半は株式によるものであることが確認された。また、日本の投資家を想定したリスクパリティポートフォリオのパフォーマンスは、資産配分に重点を置いた従来型のポートフォリオと比較してリスクが低く、リスク・リターン比が高いという結果が得られた。さらに、レバレッジを掛けたリスクパリティポートフォリオについても検証を行い、従来型のポートフォリオと比較して、リスク・リターン比が高いことが確認された。